浅瀬を泳ぐ魚と深海を泳ぐ魚は水圧が違う。
筋肉の付き方も違えば、餌だって違ってくる。
鮭のように川から、太平洋を渡って川に戻る魚だっている。
条件が違えば、100匹なりの正しさがあるわけで
ひとつのテーマをとって一緒くたに正しさを語ろうとするのは
知力に欠け愚かではないか。
わたしが愛そうとしているのは、いつも悲しげなキングコングたちで、あなたが愛し合っているのは、精確な言葉を放てる稀な『人間』なのかもしれないから。何を求めて生きるのかが大事。
なかなか大変なことだけど、そのために自分を知らなければいけない。
そして嗅ぎ分ける、その生れ落ちた、かけがえのない命に託されていること。

いつも中途半端じゃないか。病気なの？
中途半端だから、他人のことが気になるんだよ。
それじゃあ、まるで孤独なウルトラマンレオさ。
大事な鍵を盗んでギャアギャアやってみても、毎日の生活は変わらないよ。自分が抱える問題に戻るだけ。自分は自分。他人は他人。自分は自分、それがはじまり。

理論や知識は、人に伝わる温度に欠ける。わたしはFIATに乗ったから、その足の裏に直に伝わるアクセルの楽しさを知る。ボンネットに眠る職人が作ったような、うずまいたエンジンの顔を語ることができる。小気味のいいハンドルの味や人間臭い電気系統の反応を覚えている。これは、カタログを舐めても語れない。ひとに伝えるのに、経験に勝るものはない。
偉い先生の理論は理論でしかない。理屈は現実を掴まない。本ではいけない。
それが現実に活きるのか、活かされる可能性があるのかは条件が複雑に違うわけで
確信が得られないのだから、条件を読んで素材を揃えて実験的なことが必要になる。
手を汚さないで理論や知識を力任せに振り翳す力が人を温めようか。
そんな者が人を束ねようか。答えはNOだ。世界にあなたしかいないとして
たったひとりのあなたなら、どう考える。どう生きる。何をする。何を語る。
驕り高ぶらないで、考えろ。さもなけば、海を求めて歩け。ゼロから火を熾し水を探せ。その二本の足で距離を測り、地図を記せ。二本の手で行った、生活のレシピを遺せ。

父が明日からタイへ飛ぶ。
本当は亡くなった母とふたりきり、
退職記念に行く予定の、カップル節目の旅行だった。
赴任して三年。来月ようやく妹家族がこの地に戻る。
三年前は各国で鳥インフルエンザが初めて発症、
大量のマスクを買い込んで飛び立って行くのを見送った。
母の病気に始まり、離れ離れの三姉妹も色々な感情を味わうことになった。わたしたちは、それぞれにマザコンで、それぞれに母との関係が違った。父や父の友人への接し方もそうだが、妹たちにも母が亡くなった後は、母の振る舞いを真似ている自分に気がつく。「血」とはDNA以外にそうやって流れいくこともあるんだ、と自分の小さな変化を通じて、初めて見知った。

二週間も配達を忘れていた地元の家具屋さんに、電話をかけた。
わたしの足に家具を落とし、ギャァァァー！っと悲鳴。痛い。
一言も詫びない、謝らない太っちょ専務さん。（ドジだな。）
二ヶ所に浮き上がった青痣。（コラァ！）
マニキュア塗り直してデートなんだぞぉ、ブーツだけども。
田舎の家具屋だけどもエッグチェアをはじめ、
一流デザイナーズブランドを並べて接客サービス三流。
それは由々しき問題ですよ、バランスを取ってください。

テレビ番組制作会社から「魚」のことで
喰い付きの悪い電話。全国に電話かけまくっているという。その男、やる気ない。聞き込み、中途半端。たぶん、取材の立場が自分らしいイイ番組を作って「競争」を出し抜くぞぉ！なんてのじゃなくて、使われの身なんだね。それに比べて昨秋のテレビ東京の女性プロデューサーは、下見したり足を運んで粘り強くて偉かったなぁ。人は「向き不向き」があるからね。学校では苦にならないけれど、社会人では特に気をつけて見ないと、幸せな毎日を送るに大きい問題だと思う。好きなことが必ず自分に向いてる仕事とも言えないわけで。

きのうの無礼な者どもから電話。
受話器の向こうの神妙な声。
あれ、ひょっとして謝るのかな？と思いきや、
どこにも譲れないお願いごと。やんわり対応されて、
無礼どもの声音から反省の面持ちが伝わって来た。

住み心地の悪い水槽のガラスを破ることができない。
時折鼻をこすりつけてガラスの枠の内側に
住み着いていることを見ているのに。
母なる海の匂いを忘れそう。
泳ぐ筋肉が落ちていく。この身が腐って小さくなる。
「時間」に流される。

ずいぶん世の中には、受け入れの悪い人がいる。
ハッピーじゃない。わたしは怒っている。珍しいな。
なんていうかな、はじめから頑なで話す余地がない。
聞く耳を持たない。相手を受けて大きくなる気がない。
何かに囚われている。それを死守しようと必死でいる。
広がりがない。つまらない。固い。豊かじゃない。
そんな態度で、一体その仕事で何を目的としているのだ。
そうだ、欲求不満っぽい。どうも人を選んでいる。知名度のある人にヘコヘコして。
いやらしいよな。わたしはやだな。触らぬ神に祟りなし、だな。静々と離れよう。
そうしよう。どのみち情報の鮮度に欠けるし量もない。調子がいい。年齢は関係ない。
じっくり先行きを見ながら、なるべく距離を保とう。やり方が汚いから、マジで怒ったぞ。
知らないからね。こんなに怒ってることも微塵も漏らさない、一切教えてやらない。
明日は美味しい朝食を作って、爽やかな朝から始めよう。

ジミーチュウの大き目のカバンがキャリア向けでいい。
好きなのはチャラチャラしてないやつで、
エルメスのケリーを凌ぐかも、などと評判が高い。
写真がなかったので、こちらはロンシャンのトートです。
安く手に入るといいのに、海外でも高いんだろうな。
ところで、電話が入って2月1日はランチタイムに合わせてグランプリ受賞の件で支局長が直々に表彰状と賞品を手に辺鄙な田舎（ここは県境）まで、おいでくださるそうで担当しているカフェにご案内することにした。
この頃、本屋さんに行くと本を刊行したらいいのになぁ、と思う方々のことが
強く思い浮かぶので、いろいろ話してみようと思う。後は何がいいかな。う〜ん。

今日は映画館で息子とチキンリトルを観た。
父親が息子の話を聞かず、信じてあげないことを
チキンリトルが勇気を出して精いっぱい抗議する場面で、「ぼく涙が出ちゃう〜。」と隣席の息子が
涙をこぼしていた。帰りの車を運転中、携帯が鳴った。
九州のTL氏だった。信号待ちでかけ直して切った。
son「おかあさん、TLさんのこと好きなの？」
me「好きだよ。」son「どうして？おもしろいから？」
me「おもしろいし、よく聞こえる耳があるし力持ちでやさしいし、温ったかいもの。」
son「じゃあ、先に一緒に結婚してください、って頼もうよ。ふたりで、どうかお願いします、って。後から大きくなったら僕と結婚すればいいんだからさ。僕は次でいいから。」
me「そうだね、そうしてふたりを抱っこしてもらおうか。」
son「おかあさんなんて、大き過ぎてだっこなんてできないよ。
そうだ！こう聞いてみて。”わたし、大きいからって抱っこしてもらえなかったら、
どうすればいいの？これから？”って、こう言うんだよ！」声を裏返しての白熱の指導。ムスコよ、女優を仕立てる監督みたいでおもしろいです。

今日のお昼にWOWOWで放映していた。
なかなか面白かったが、妻となる女性たちが可哀想だった。
映画なのですが、家の中を滅茶苦茶にしたり殴ったり、で。
それでも、大人になり切れない男性としてクローズアップ
したり、ヨーロッパ男性らしい無邪気な恋を繰り返したり
子供たちとの関係が人間臭かったり、ファザコンマザコンでね。
よーく見ていると人生が盛り沢山詰まっていて、お洒落だし
なかなか楽しめる力作の映画ですよ。

気持ちが高まるし、決してイヤではないのだけど、
毎日こころの一枚一枚をしっかり彼が愛でるので
この頃、わたしは普段の自分を取り戻そうと
何やらタイミングを外し気味。いけないかな。
怒らないとは思うけど、それなりに伝わってるはず。
これだけ細部に入ってくるわけで、支配力が強いからだと思う。彼は策謀と心理戦に強い。我慢強い。決定的に怒らせない方が得策だ。。。
こういうことも男女を人間関係として見れば、距離を置きたい気持ちは健全な反応で
それなりに前に進んで深まりつつあるんだろう、という気はする。
TL氏はマコ監督とNY社長の好きなところを足して持っている。相性がいいし楽しい。
傾倒せずバランスが良くて真っ直ぐなので、それ以上の魅力があると思う。
何よりも世の動きの真意を測り、物事を計る落ち着いた目がいい。
人間性や社会性から、よく話を聞きながら彼についていこうと思っている。
神さまはわたしの後半の人生にとっておきの出会いを準備してくれたのだから
この流れを素直に受け入れていこうと思うのだけど、絵に描くようにはいかない。
メールと写真を送るよ、とTL氏は九州へ出張した。
そして東北に飛んで来て、今週はデート。お正月に日程を決めてしまったので
大事な仕事も、そこを避けて全てスケジュールされた。リラックスして欲しい。
それでは、彼の到着を待とう。

『生命の源である水が湧き出る泉の夢は、想像力の源、溢れる愛を表しています。きれいな水が湧き出る泉の夢を見たらラッキーなことがあるでしょう。澄んだ穏やかな水は吉兆。未来の幸せと成功のしるし。水をいっぱいたたえていれば、将来の安泰を約束。流れていたら末永く続く幸せのしるし。泉の水を飲む夢は、ある人への愛情が報われようとしています。オアシスの夢は安らぎの暗示です。神との関わり合いが深い場合は、聖なる意味を持ちます。神からの啓示が得られるかもしれません。』と書いてある。なかなか良い夢らしい。夢占いを調べる前に携帯が鳴ったのでベッドの中でゴロゴロしながらTL氏に話した。「泉は想像力とか、生命力だよ。いい兆しだな。うん。神々しいのは、なおいい。」などと言っていた。なんでそんなことまで知っていて、すぐに出てくるのか不思議に思った。きっと、彼も泉の夢を見たことがあるのかもしれない。それに妙に予知やらテレパシーに詳しい。予知夢ということで知識の範中なのかな。ふむ。

実は、今年のコートはこちらを購入しました。
ウエストが細身でAライン。シャープな雰囲気なのに女性らしさもあります。
デザインのわりに着丈も120センチあって長め、
ポケットの位置も高くなく深めで落ち着いた着心地です。
80％OFFとはいえ、値段は高めで清水寺の舞台から飛ぶような思いで購入を決意。
ナルシソロドリゲスはこちらが一枚目で初めて。さすがイタリーブランドです。
デザインや縫製は良く、色は日本で探してもないような色なので優越感もあります。
手長ザルのわたしにはちょうどいいのですが、袖丈が70センチに近いと思います。
ただ、袖幅がないので二の腕がかるくやばい方は着れません。
周りと比べて腕が細い、と言われるわたしが薄手のセーターできつめのギリギリ。
飽きの来ないコートなので投資しても長く着用できるから、値段はいいとしても
コートが着る人を選ぶようにならないよう体系の変化に注意が必要な年齢だなぁ、と
自分を戒めた今年の大きな買い物でした。以上、報告まで。

父があのひとの葬式から帰った。
玄関で香典返しを受け取ってから、
ひとり暗がりで目が熱くなって、胸がザワザワとした。
わたしは仰木監督がとても好きだったけれど
監督が亡くなったことを年が明けてから読んだ新聞で
知ったときは驚いた。あのひとと仰木監督は同じぐらいの年で
態度というか、表情や雰囲気がとてもよく似ている。
まだまだ使命を全うしたい、生きたい気持ちをすっかり被う容赦のない病気。母のこともあって、やりたいことを遺す『癌』特有の故人の無念さを感じた。
どうしてこの人が、と思うような人たちが60代にして命を終える。『癌』である。
府中の祖母が2月で94歳になるのだが、『生命力』なるものの本質を考えている。
四角の枠を正しくなぞる様に真面目だからといって、心身にいいものでもない。
何かに囚われたようになって、身を粉にして我を忘失して自分を縛って苛める。
それぞれの肉体に宿す『生命力』なるものは縦横に表現できるような気がする。
人には自然治癒力があって養生しなければ、高い『薬』をもってしても勝てない。
エネルギーのタイミングのようなこともある。無茶や無理はいけない。
目先のことで大きく動く日本では、点を見つめる生活で変化も激しく難しいけれど
長く生きる強い生命力を考えなければ、この腕に抱く子供たちの未来も見えない。

son「このぐらい大きくなったら、おかあさんと結婚する。」
me「どして、結婚したいの？」
son「好きだから、一緒にいたい。」
me「仲良しになりましょ、結婚は許されないと思うから。」
son「おばあちゃんになっちゃうからでしょ？すぐ神様にお願いしたほうがいいよ。おばあちゃんにしないで下さい、よろしくお願いします、パンパンって！」

夢の中で、丸い棚田のように重なる神々しい朝の泉にいた。
水藻や小さな蓮が浮かんで、聖水を汲む作業を
誰かに教わりながら、ずいぶん長い時間そこで過ごした。
水を汲むには決まりとコツがあって、苦しくもなく、特別な感情はなく、やわらかく指示する声に従い水面を撫でて、他人の用途に合わせた神の水を掬う仕事を習った。激しさのない落ち着いた夢だった。無心を表すように透明だった。

あのひとが、死んでしまった。三回目の入院をして、もう危ないんだと先週父から聞いて、父に内緒で顔を見に行こう、と思っていたのに逝ってしまった。昔プレイボーイだった自分の旋律の音を絞り込んで抑えて、いつものように遠くから目を細めて眩しそうにわたしへ微笑む端正な顔を、最後に一目見たかった。65歳を過ぎてもアディダス・カントリーのグリーンが良く似合う、早稲田ボーイでサッカー青年だったあなたのファンだったことは、あなたにも誰にも言えない胸の裏に隠れる強い憧れだった。