バックミラー

2006年9月28日 日常
死んだ母がわたしたちを車の後部座席に乗せて
川沿いの長い細い道をバックしていた。
彼女の車の免許は日本の女性ドライバー1号から数えると
確か15番目か30番目だと、時々自慢げに話したし
見た目にも、それなりに慣れた運転を見せたものだった。
バックする車は壁にぶつかりそうになり、わたしは声を上げた。母はギリギリでハンドルを切った。「おかあさん!何やってんのよ!?」
どんな声も聞こえない、耳に入らないみたいだった。意思さえ感じなかった。
彼女はただアクセルだけを踏み込み、車は唸り声を上げ、猛スピードでバックしていった。わたしが前に飛び込んで力づくでハンドルを奪いブレーキを踏んで間に合うのか、任せられるか母の形相を見つめた。そこで目が覚めた。心臓がバクバクしていた。
母が病室で一緒に死んで欲しがったことを思い出した。

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