花屋

2006年7月15日 お仕事
知人が講演会を行ったので
小さな花束を買おう、と会場近くの花屋に立ち寄った。

「黄色を基調に夏らしく爽やかな感じでお願いします。」
と、店主に話したら彼は向日葵を選んだ。
添えたシダのような葉が向日葵に合わなかったのだが
手際良くまとめたので黙っていた。

ところが、ラッピングで和紙とビニールを巻いた途端
横に平べったく、溶けたアイスのように潰れてしまった。

「これで、いかがでしょうか。」
「申し訳ないけど、もう少し立体的にならないでしょうか。」
「なかなか難しいんですよ。」
「けっこう難しいんですね。」

まぁ、わたしはお金を払うわけで
難しい、とプロに泣かれても
大勢の人前で渡すんだからまともなものが欲しい。

何度かやり直すうちに上手くでき上がったので
「いいですね。」
と、貰い受けようとしたら
花が二つ折れて床にポトンポトンと落ちた。
店主の彼は慌てるどころか、怒り出して花束をぶん投げた。
そこで奥さんが呼ばれ、交代。一から作り直し。
待つこと45分、一時間半の講演会はもう酣だった。

花屋なのに、ガランと店が寂しいのも納得。
単純な自営の客商売なのにカッカ、カッカと腹を立て
仕事をぶん投げては実を結ばない。
花屋のおじさんの長い人生が透けて見える気がした。

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