夢の欠片

2006年5月15日 日常
夢の欠片
「おかあさんね、この山が欲しいの。」
思い立って、車を走らせた。夕日が沈む海が見える丘がある。
「えー、どうしてぇ?いくらぐらい?三千円?」
息子が目をまん丸に光らせて訊いた。
「三千円じゃ、買えないわよ。何頭か、ポニーを飼いたいの。寒くて死んじゃうかな。でも、馬に詳しい身内は二人もいるね。」
「オレも飼いたいな。ヤックルって名前にする。」
「お金がいるわね。今の仕事をやめたらご飯が食えないし。あなたがいるし。おじいちゃんもいるし。やっぱり、再婚が先かなぁ。あー。新しいお父さんいる?」
「オレは絶対いる。」
「じゃあ、がんばる。」
どうして、この山なんだろう。うねうねと曲がる山道のハンドルを切りながら、
この地にこだわる理由を考えていた。

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