200人以上の生霊!

2004年5月8日
 おととい六日、わたしの体調が長く悪いのを真剣に心配してくれる、隣のデスクのお姉さまがGW前からお薦めしていた「波動整体治療院」と、いうところに行った。

 「こんばんは!」と、玄関を開けると、若くてスラっとした綺麗めの治療師(もっちろん女性)が、「まだ、お客さまがおりますので、少しお待ちください。」と出て来て、数分ドアの前で待っていたら、二人のとても若くて元気いっぱいの女性(高校生ぐらいに見えた)が手にビー玉の入った何かを持ってニコニコと出て来た。えっ、これはこれは占いの臭い?

 小さな部屋に通されて長ソファに座った。初めに「何か、心のトラウマになるような心当たりがありますか?」と、彼女が訊いたので「カクカクシカジカ、まぁ離婚を経験しまして、現在に至りコウコウですが、、、のびのび自由にやってます。新しい男性が現れて少し心に入ると、必ず前夫が夢に出てくるので、ひょっとしたらトラウマなのかもしれません。」と、丁寧に細々と話した。

 治療師は、突然目をギュッと瞑って首をうなだれた。妙な吐息や欠伸を吐きながら、全身を揺らした。ちょっとちょっと一体何が始まった?整体に来たつもりだったが、しばし見守った。

 「うううー、頭が痛い。壊れそう。ざっと数えて200人以上の生霊と死霊が身体に入っています。これじゃあ、眩暈も起きますよ。女性です。身近にいる女性たちの生霊がほとんどですが、男性もひとりいます。おばあさまも成仏していません。苦しがってます。あなたを頼って、たくさんの霊が家に入っています。」二十代のわたしなら、このタイミングで有無を言わさず帰ったところだった。こういう部分は、年の功かもしれない。

 彼女は、成仏させると言ってマッサージを始めた。15分くらいかな。おでこから、生まれたがっていた母の水子(女の子)が出てきて、耳から、わたしを頼っていた友人が出てきて、手の痺れからは昔々飼っていた猫が最後に出て来た、と言った。「先生、この胸の雑音は何ですか?」と、聞くと胸をマッサージし出した。「これは、車が以前のようにもっと遠乗りして欲しい、という車の霊ですよ。」だって。何度か、吹き出しそうになった。

 聞いた覚えがないんだけど、大体わたしと同じレベルの年下の男性と再婚する、とも予言した。「あなたの波動のレベルは、相当高いですから、それ以上の方はそんなにいませんからね。だって、あなたの器量が大きいからこんだけの霊たちが入れるんです。」だって。へぇ、気分悪くないなぁー。ふふん。三時間半、総額4000円を支払った。でも、勧められた2000円のビー玉は買わなかった。

 翌日、職場で話したら良い笑い話になったが、「信じるものは、救われるんだろう。」という、素晴らしい結論に達した。確かに「病は気から」というわけで、気持ちの持ち方次第というか、ポジティブシンキングに徹したカウンセリングみたいなものだ。霊感と直感が強めなので、あなたも波動師になれる、と言われた。

 昔から妙な化粧品や宗教や自己啓発の営業にイチ早く誘われる。「あなたなら、すぐやれる!絶対凄くなる!」そんな暇も金もない、このままで十分幸せになれるから、いいって、と友人に言うと、決まって怒り出した。まぁ、うんざりする。誘ったら断るって思われていないことでも、がっかりした。訝しげ、だよね。どれもこれも、あんなの。法外なお金がかかること事態全くおかしいじゃん。最近は、まぁ全然聞かない。友人知人らも結婚して落ち着いたようだ。深く関わった人の中には死んだ人も、転職した人も多い。信じるものは、救われたのだろうか。

 母の日で、三歳の息子に折り紙のゴージャスな花束をもらった。見開きの中にクレヨンで怪獣みたいなわたしの顔。美人風。

 わたしの母にはシルクのTシャツ。二枚で6千円。ギフト包装を待つレジで、シルクを買いに香港に行きたい、と思った。

 それから、二週続けて新聞の原稿がボツ。でも、めげない。書き続ける。

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